不動産には売出価格があるものの、明確な「定価」というものが有りません。売出から時間が経過してしまった場合に価格変更がなされるケース等は、皆さんもご存じの通りです。

 

例えば、不動産の査定で出される金額は、2100万円〜2000万円という様に一定の幅を持った価格査定がなされる事になります。

これが実際に売りに出されるとすれば、最初は少し金額を上乗せして2200万円程度で売りに出されるでしょう。

 

この場合、買主様の気持ちとしては、「少しでも安く」と考えますが、売主様は「少しでも高く売りたい」と考えるのは当然の事でしょう。

 

ではこの場合、買主様は、幾らで買付を入れると良いのでしょうか?

 

私なら、2200万円の売出価格に対して、2100万円での買付をお勧めします。

相場の範囲で購入すれば、「損はしていない」からです。もちろんお客様がとても気に入っていれば、満額での買付をお勧めします。

 

理由としては、①不動産には全く同じものは存在せず、②条件の似たものも、それ程多くあるものでは有りません。③また、同じ物件の購入希望者が満額で買付を入れた場合、結果的に希望の物件を購入出来なくなってしまうからです。

多少、金額が相場より高くても、購入意欲が強い場合には後悔も無いと思います。

 

何千万円の買い物ですから、購入意思をあらわす買付を入れる時には、かなり気に入っているはずで、この場面でちょっと得をしようと欲をかくと、結果的に欲しいと思う条件の物件を逃す事に繋がってしまう訳です。

この繰り返しでいつまで経っても物件を購入出来ない方もいらっしゃるでしょう。

 

この事を踏まえると、不動産価格をストライクゾーンの様なゾーンで捉えて、その相場の範囲で購入出来れば良しとするのが宜しいと思います。大切なのは、自分の条件やお好みに合った物件にお住まいになる事ですから、その様な物件と出会えたなら、「損をしない」範囲で購入を決めるのが良いと考えています。

 

個人間の売買では、双方が得をしようとすると話がまとまりませんが、双方が損をしないという事であれば、理屈としては成り立ちます。

このポイントを踏まえた価格交渉であれば、成立する可能性は高いでしょう。

こちらが得をすれば相手は損をする訳なので、落とし所は「損をしない」という所なのです。

 

但し、売主が売り急いでいる(一刻も早く現金化したい)等の特殊な事情がある場合には、価格のゾーンの安い方で購入出来る可能性もあります。

これを見逃さない様にはしたいものです。(内見時のチェックポイントや、ある程度の情報の収集で推測を立てる程度までは可能です。)

 

損をしなければ良しとする、その上で交渉の余地があるかの可能性を探る事で、結果的に少し得をした買い物が出来るのかも知れません。

得をしようとして物件自体を逃してしまうのが、一番残念な結果になると思います。

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